僕が熟女を口説く時
結局千秋さんは俺が払うのを拒み、割り勘して会計を済ませた。


なんか恥ずかしい、割引券も見られて、
結局割り勘なんて・・・
かっこ悪いと思われたやろうなぁ・・・


こんなんじゃ良い関係になるどころか、嫌われてまうわ。

やっぱり俺みたいなガキが大人の真似なんてできひんかったんや。


俺はそんな甲斐性なしの自分が、
背伸びしたってガキな自分が、
すごく恥ずかしくて、話し掛けられないまま俯きながら歩いた。


けどそんな俺に千秋さんは明るく話しかけて来た。


「美味しかったね。ワインも最高だった。」


「えっ? はい・・・」


千秋さん、気を使ってくれてるんか?


「孝太郎くん、ありがとうね。」


「えっ!?」


「安くて助かったよ、私もお金無かったしさ。」


「千秋さん・・・」


はっ!? そうか、千秋さんもお金無いんや。
そりゃそうやんな、母子家庭で子供育ててるんやもんな? 

しまったぁ・・・

俺、なんでこんな高い店を選んでもうたんや! 
千秋さん懐事情も考えんと店選んで。

ほんま俺、失敗ばっかりや。


俺、何やってるんやろ・・・


孝太郎はまたも自分の不甲斐なさにガックリと肩を落とした。



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