【完】私なりの愛のカタチ。



それから卒業まで残り3日に迫った今日。

学校は休みで、
圭ちゃんの家におじゃました。


「ごめんな愛、引っ越しの手伝いさせちゃって…」


「ううん!大丈夫だよ!
圭ちゃんの事だから多分、
まだ引っ越しの用意出来てないんだろうなって
思ってたから」


「うっ!そんなこと思ってたのか?
ひどい奴だな」


なんて怒りながら言っても
私の額をポンと押すくらいで終わる。


「…ねぇ、圭ちゃん。」


「ん?」


「……すき」


「…っ!はあ?何…今…
ちょっと…不意…!」


「…えへへ!圭ちゃんテンパり過ぎだよ!」



『すき』そう言う事で、
自分の寂しくて泣き出しそうな気持ちを抑えた。


なんでもいいから…
とりあえず笑ってたい。

頑張ってって送り出したいから…
こんなところで泣けない。



「…愛、お前こそ何焦ってんだよ」


「へ?」


「寂しいのは俺も同じだし、
泣きたいのも同じだから。
無理して笑うな」


「……うん…ごめんね…」


「お前がそう、俺に教えてくれたんだろ。」



………泣くつもりなんて
これっぽっちも無かったのに。

圭ちゃんが私の心を読んで
そんなふうに優しく言うから、


泣かないでおこうと決めた涙が
一気に溢れ出す。



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