君はまるで桜の花弁
第一章
4月、
まだ、寒い風が吹く中
気まぐれに外に出た
外はもう桜が満開で、
あちらこちらでお花見している人たち
人混みが苦手な俺は
すぐに目を逸らして
今まで行ったことがない道へと
足を進めた
.
.
.
「何処だ?此処...」
さっきまで聞こえていた声は
もう聞こえなかった
けれど、
また違う声が...近くで聞こえた
「1人は、辛い?」
誰かと、話してるのか?
静かに声のする方へと行った
特に理由は無かった、興味本位だった
壁越しに覗いて見ると
「大丈夫...」
そう呟いて目を閉じる女の子
周りには誰も居ない
独り言か?
そんな事を考えていると、女の子は
歩き出した
「やべ...」
俺は咄嗟に通行人のフリをした
その女の子が通り過ぎ見えなくなった後
女の子が居た場所へ行ってみた
「此処も満開だなぁ...」
桜を見上げたら眩しくなって
目を下にやった
「ん?」
地面には綺麗な髪飾りが落ちてあった
桜の様な花がぶら下った簪(かんざし)
今の女の子のだろうか...
とりあえず持ち帰る事にした。