ぼくの空きみの声
わたしは学校が嫌いじゃない。
居心地がいいわけでもないし、友達がたくさんいるわけでもないけど。
「次、移動教室だよ」
外を見てぼんやりするわたしに舞が近づいてきた。
「わかった。行こ」
たとえばこんなとき。
廊下にいる彼と出会う。友達といるときの表情はいつもわたしが見ているものとは少し違う。
たとえば、彼がわたしに気付いて目を少し伏せるとき。
わたしにしか分からない合図。
それが、嬉しい。