神様のいたずら
紀代子は、紙を胸の前で握って神乃を
見つめる。

「九条さん・・・。」

「はい。」

「わたしの名前・・・知りたいんですよね?本当に・・・。」

「はい、まあ・・・。」

神乃は、紀代子を見てうなづく。

「じゃあ、これを・・・。」

紀代子は、紙を二回折り曲げて机に置くと神乃の前に持っていった。

「これは・・・?」

神乃は、また首を傾げた。

「恥ずかしいので、紙に名前を書きました・・・。知りたいなら、どうぞ。」

紀代子は、膝の上に手をおいてうつむいたままつぶやいた。

「・・・。」

神乃は、紙を見つめる。

「あの・・・。今、見ても構いませんか?」

「・・・は、はい。」
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