妖とわたしの時間
「・・・おっと、大丈夫か?」

男の人は、わたしの手をつかんだ。

「あ、ありがとうございます・・・。」

わたしは、元の姿勢に戻る。

「ここは暗い・・・俺が、リードしてやるから離れるでないぞ。」

男の人は、わたしの肩に手を置くと身体を引き寄せた。

「・・・っ!!」

わたしは、少しビクッと肩を動かして顔を赤くした。

「では、行こう。」

「は、はい・・・。」

わたしと、男の人は、歩きだす。

5、6歩、歩いて立ち止まると男の人は扇をバサッと開いて前につきだした。

そして、何かを静かに唱えはじめた。

「?」

わたしは、男の人を見る。
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