Misaki-Forever
理貴はゆっくり立ち上がり
一斗を見下ろした。
「痛かったか?」
「はい」
「その痛みを忘れるな
次は笑って話せるといいな」
「先輩…」
一斗は涙が溢れ止まらなかった。
理貴は佳奈の方に近付き
手を差し伸べた。
「佳奈、行くぞ」
「うん」
「付き合わせて悪かったな」
理貴は美咲を見て少し柔らかい表情に変わってゆく。
「あっ…いいえ」
美咲は小さく首を振った。
佳奈が美咲の耳元で小さな声で話した。
「赤ちゃん9月に産まれるの、見に来てね、それと早く手当てしてあげて」
そう言って一斗の方へ
顔を向けた。
「はい」
佳奈は理貴の横に並び歩き出した。
<佳奈、寒くないか?>
<大丈夫>
そんな会話をしながら理貴たちは河原を後にした。
美咲は、そんな様子を見送り軽く会釈をして一斗に駆け寄った。