Misaki-Forever

「…あのさ、葵は美咲に会いたくないのかな?」

「わかりません、本当は会いたいのかもしれないし」

綾音は遠くを見て目を細めた。


「そうだよな」

「あっ、美咲さんって彼女ですよね、私は変なお願いしたのかもしれないですね」

「ううん、それは気にしないで…
じゃ、そろそろ行くね
綾音ちゃんも無理しないで!」

「はい、ありがとうございます」

綾音は深々と頭を下げると再び病室に戻って行った。



病院を出ると、雨が降っていた。

静かに降る雨は
サヨナラを告げる葵の涙の様に思えた。



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