Misaki-Forever

「…私」


波音に欠き消されそうな
弱々しい声
綾音は俯き加減に言葉を詰まらせた。


「ん?どうした?」


一斗は綾音の顔を覗きこんだ。


「美咲さんに悪いなって」

「…今日は綾音とデートしてるんだぞ…それは気にするな…たぶん俺達別れる」

「どうして?アメリカに行くから?」



「うん、迎えに来る約束は出来ない、期待して
…それがムダになったら美咲の楽しい時間もムダにするから」



「私が美咲さんなら…言ってほしかったって思う
お兄ちゃんも本当は会いたかったのに伝えなかった
会いたくて仕方ないくせに
そんなの寂しいよ…あっ…ゴメンナサイ」

「…」

「好きなら、言ってあげたほうが良いと思う…」




「そうなのかな」


“やっぱり綾音は美咲に似ている…今日だって…
一緒に居ると美咲がそばにいるような気がしたから…
綾音ゴメンな"




“今日、初めて人を好きになったよ…ありがとう"
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