Misaki-Forever
一斗はゆっくり走り出す
夏の海の香りと吹く風を感じて…
そして美咲を思いながら…
少し走ると綾音のすすり泣く声が聞こえた。
一斗は止まることなく
今度は、波打ち際を歩いた。
「綾音?」
「…今日はありがとう…」
「何言ってんだよ」
一斗は、おんぶしたまま歩き続けた。
「私、これでお兄ちゃんの元に行ける」
「バカなこと言うなよ」
「ダメなの…もうすぐ…私の心臓はバッテリー切れになるの
来月が最後の手術…助かる可能性は…半分以下」
一斗は愕然とした。
“あり得ない…葵が死んで綾音まで?"
綾音は一斗の背中に顔を埋めた。
「大丈夫だ!綾音は兄貴の分まで生きるんだろ?」
「一斗…ありがとう…私、生きたいよ、死にたくない」
一斗は俯き歩き続けた。
“美咲ゴメン…
今日だけは綾音だけを思うよ"