初恋はカフェ・ラテ色
あかりが私のことを思って言ってくれているのはわかる。けれど、8年間の片思いをあっけなく終わらせるなんて出来ない。まだ心構えが出来ていないのだ。

「……よく考えてみるよ」

そう言うのが精いっぱいだった。あかりは大きく頷く。

「他に目を向けたら、心春を大事に思ってくれる人がすぐに出てくるよ」

大事に思ってくれる人……それが洋輔さんであってほしい……。

険悪な雰囲気を脱し、ファミレスを出るまで楽しい話になったけれど、あかりが話していてもどこか気もそぞろな私だった。

 

自宅に戻ってベッドにドサッと腰かける。帰り道もあかりに言われた言葉が頭から離れずどんよりした気持ちが続いている。

『性格が良かったらこの宙ぶらりんの関係をちゃんとすると思うんだけどな』

あかりの鋭い言葉を思い出すたびに胸に鈍痛が走る。

「あかりの言うとおりなんだよね……ううん、性格が悪いなんて絶対ないんだからっ」

私はいつまでたっても妹のような存在でしかないのかもしれない……。

「あー! もうっ! 違うこと考えよう!」

明後日の土曜日は洋輔さんとドライブ。着て行く服を考えようと重い腰を持ち上げた。


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