初恋はカフェ・ラテ色
「あれ~ 心春先生もあのオーナーに気があるの?」

佳澄先生がからかうように言ってくる。

「す、数回行って知っているから……」

おそらく顔が赤くなっているに違いない。顔がめちゃくちゃ熱いから。それを隠すように俯きがちになる。

「4月の初めだったかな。桜がきれいでしょ? キレイな桜を見ながらオーナーとお酒飲みたいなって」

朝子先生は手元のファジーネーブルサワーに手を伸ばしテレを隠すように飲む。

4月の初め……洋輔さんに恋人がいる……。

この8年間の想いの高くそびえたつ塀が、目の前がガラガラと崩れている感覚に襲われる。

「心春先生、黙っちゃってどうしたの? もう酔っぱらっちゃった?」

隣に座る真美先生に心配そうに聞かれ、慌てて首を横に振る。

勢いよく首を横に振ってしまったせいで、ふらっと眩暈のようなものに襲われてしまう。

「大丈夫です……」

そう答えたものの、それからは先生たちの話が耳に入らず適当に相槌を打ち、マンゴーサワーを飲んでばかりいた。

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