初恋はカフェ・ラテ色
「6時に迎えに行くよ。晴れるといいね」

約束は確実なものだと分かると、身体の力が脱力する。

ホッと安堵してコクッと頷いた。

洋輔さんのマンションまで徒歩3分。

小雨の中ゆっくりと一つの傘で歩く。

私にとってこんなに嬉しいことはない。

地下駐車場に停めてある車に乗り込むと自宅まで送ってくれた。

車の中は私の思い過ごしかもしれないけれど、心地よい沈黙が流れる。

なにか話そうと思うけれど、意識してしまって言葉が出てこない。

洋輔さんも言葉を発しないけれど居心地がいいのだ。

10分後、自宅前に車が到着した。

「明日ね。心春」
「はい」

明日のことを考えると顔が緩む。目一杯の笑顔で洋輔さんを見送った。

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