初恋はカフェ・ラテ色


けたたましい目覚まし時計の音でハッと目を覚ます。

5時だった。

結局2時間ちょっとしか寝ていない。それでも洋輔さんと会えると思うとすっきりと目覚めて支度を始めた。

一昨日、この日のために選んだ服はボウタイの付いているシフォンのワンピース。身ごろはアイボリーの無地でスカート部分は花柄で膝上5センチ。フェミニンなワンピースだ。

大人な洋輔さんと出かけるのに、幼稚な格好は出来ない。これなら一緒に並んでもおかしくないはず。

着替えて明るいメイクを施す。鏡の中の自分は満足げに微笑んでいた。

恋人がいることを今日一日は忘れて楽しもう。

少し大きめの肩から下げるバッグの中に、忘れずにクッキーの入ったタッパーをしまう。

5時50分になると、ストラップ付きのサンダルを履いて外へ出た。

洋輔さんの愛車深緑のアルファロメオが滑るようにやって来て静かに停まる。

洋輔さんが車から下りる前に私は近づき助手席のドアを開けて乗り込んだ。

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