初恋はカフェ・ラテ色
コーヒーショップも混んでいて、テイクアウトをして外のベンチで食べることにした。

手渡されたアイスカフェラテを一口飲んで、洋輔さんのお店の方が格段に美味しいと思った。でも、それを口にするのは止めておいた。洋輔さんの性格上、そういったことを言われるのは好きじゃないから。

アボカドとエビのサンドイッチを食べ終え、残った飲み物を持って車に戻る。

車を走らせ、さらに富士山に近づいた。厚い雲がかかった富士山頂が見える。

「富士山はお天気が悪いみたい」

運転中の洋輔さんもちらりと富士山の方を見る。

「そうだね。雨が降っているかもしれない」
「こっちはこんなに快晴なのに……」
「とりあえず五合目まで行ってみようか」

車はくねくねとした道を走り、五合目に近づいていく。途中、寒くなってきてエアコンは切られている。

五合目に向かう車が列をなし、ようやく駐車場に到着した。

雨がぽつぽつ降っていて、散歩コースをあきらめ売店をぐるっと回ってみた。

お土産屋さんは雨で避難してきた観光客でごった返していた。

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