初恋はカフェ・ラテ色
今、洋輔さんの唇がここに触れたんだよね?

洗面所の鏡に映る自分の顔。

寒かったはずなのに、顔は高揚していて本当にリンゴのように赤かった。
 
洋輔さんも寒いはず。手早くシャワーを浴びて紙袋に入っている服を見る。

蛍光色のピンク色が派手なTシャツと綿の生地のクリーム色のショートパンツ。リゾート地で売っている服だから派手でも仕方ない。

センスのいい洋輔さんが買ってきたのだから、これよりも良い服がなかったに違いない。

着替えてみると、それほど悪くなかった。濡れたワンピースを手にして洗面所を出る。
 
「洋輔さん、お待たせし――」

ガラガラガラ……ドーン!

いきなり大音量の雷が鳴り、耳を押さえながら悲鳴を上げていた。

「キャ――ッ!」

窓辺に立ち外を見ていた洋輔さんが素早くこちらへやって来てくれる。

「大丈夫? どこかに落ちたような音だったね」
「……びっくりした」
「雷が酷いけど、俺が入っている間、紅茶とケーキを食べて待っていられる?」

怖いけれど……ここで待っていられないって言ったら、洋輔さんはいつまで経ってもシャワーを浴びられない。
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