初恋はカフェ・ラテ色
ふと、そんなことを考えていると唇が重ねられた。ちゅっちゅっと口づけられてから唇を優しく食まれるようなキスになる。
まさに夢にまで見たキスだった。うっとりとされるがままにキスをされて、熱が身体の中に籠っていくような、疼くような感覚になっていく。

「んっ……」
「心春が自転車でけがをしたときも、夜に来させてしまっている自分に苛立ったんだ」
「あのとき、私がどんくさいから怒っているのかと……っん……」
「もしかしたら大きな事故に合っていたかもしれないと思うと、いかに心春を大事に想っている自分を認識したんだ」

吐息が重なり合い、再びキスの嵐が降り注がれる。

自分からキスなんてそんな余裕はなくて頭の中が真っ白になっていく。

舌が差し入れられたときもただ夢中で返すキスだった。

どのくらい経ったのだろうか、洋輔さんの唇が名残惜しそうに離れた。

うっとりとしたキスの余韻に彷徨っていた私はうつろな瞳を洋輔さんに向けた。

「ここで心春の全てを奪いたいけれど……帰ろう」

えっ? 私の全て……?

戸惑いの表情を浮かべてしまうと、洋輔さんは苦笑いを浮かべた。

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