初恋はカフェ・ラテ色
「私に勝ち目?」
「けっこうキレイな人もいるだろ。オーナーだって男だから、キレイな女の人には弱いと思うよ」

太一はペラペラ話しているけれど、今日の私は心に余裕がある。

昨日、洋輔さんに「愛している」と言われたばかりだから。多少の嫉妬は否めない。

だって、彼女たちが洋輔さんを見る目はきらきら輝いているから余計にキレイに見えてしまう。

でも、問題は洋輔さんの気持ち。どんなに猫なで声やいかに可愛く話しかけられても、いつものようにさらっとかわす洋輔さんを見て安心する。

「今井くーん」

太一にも女の子の呼ぶ声がかかる。

「あ、いらっしゃいませ!」

たった今入ってきた女の子3人のグループに、太一は営業用の笑顔を向けて去っていく。

まるでホストみたいだよ。

カウンターから背を向けてイスに座った直後、頭にふんわりと手が置かれた。

「心春。いらっしゃい」

洋輔さんだった。いつの間にカウンターの中から出てきたのか。来たことに気づいてくれたことが嬉しい。

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