初恋はカフェ・ラテ色
「何にする?」
「今日は暑いからアイスコーヒーにしようかな」

ちょっと目が泳いで注文すると、その考えを見越したのか、洋輔さんは含み笑いをしてカウンターの中へ戻っていく。

カフェラテを飲むのならカウンターに座らなければ意味がない。唇に付いた泡を洋輔さんに拭いてもらえないのだから。

活気ある店内をぼんやり見ていると、洋輔さん自らアイスコーヒーを運んできてくれた。

「はい。心春好みのガムシロを入れておいたけど、いい?」
「いただきます」

ストローから少し飲んでみると、ちゃんと私好みの甘さになっている。

「ありがとう。好みの甘さで、美味しい。さすが洋輔さん」
「もちろん。心春の好みはすべて熟知しているからね」

洋輔さんはくいっと腰を折り、驚いたことに私の髪にキスを落として去って行った。

一瞬のことで、唖然となる。

昨日はたくさんキスしてくれたけれど、お店で愛情表現をしてくれるとは思っても見なかった。

遅れてから私の頬が熱くなっていく。


< 140 / 263 >

この作品をシェア

pagetop