初恋はカフェ・ラテ色
洋輔さんとならこの先のことだっていい……。

ありったけの覚悟を決めていたのに、何度も何度もキスされたのち洋輔さんは離れた。

困惑気味に洋輔さんを見つめると、乱れた髪を直してくれる。

「もう時間だ。心春といると時間が経つのが早く感じられるよ」

時計の針は3時近くになっていた。

そうだ。洋輔さんは休憩中だった。すべてをささげる覚悟をしたけれど、今は無用の覚悟だった。

「また店に来るかい?」

いつまでも近くにいたいけれど、やはり長居するのは良くないと理性が働く。

「ううん。お買いものしてから家に帰るね」
「わかった。気をつけて帰るんだよ」
「はい」

洋輔さんは駅まで送ってくれた。

私が改札口へ消えるまで見送ってくれた洋輔さんは仕事場へ戻っていった。

見送られるのって、なんか切ないな……。


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