初恋はカフェ・ラテ色
また食べた……。

「たしかにそのとおりだ。う~ん……」

洋輔さんはあごに手を置いて悩むようなそぶりを見せる。そんな姿を見るのは初めてだ。

「パティスリー変わっていないよね?」
「変わっていないけど、パティシエが変わったらしい。だめだな。この2つの売れ行きが芳しくなくてね」

もともとドルチェを置かせてほしいと言ってきたのはパティスリーの方だと聞いている。

「そうだったんだ……」
「お菓子作りが上手な心春に聞きたかったんだ。この間の抹茶クッキーも美味しかったしね。ありがとう」

洋輔さんはひとり納得したように頷いてから言った。
 
洋輔さん、お菓子作りがうまいと思ってくれていたんだ。

「口直しになにを飲む?」
「カフェラテを」

洋輔さんはいつものようにエスプレッソマシーンでカフェラテを作り始めた。

「はい。どうぞ」

カップに浮かんでいるのはハートの模様。それを見るだけで顔がにやけた。

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