初恋はカフェ・ラテ色

時々理解に苦しむ

少しして洋輔さんが神田さんのところから戻ってきた。その時も私は熱心にスマホ画面を見ていた。

「真剣になにを見ているの?」

いつの間にか戻ってきていた洋輔さんは両肘をついてカウンターの中から覗き込んでいた。

「あっ! な、なんでもない!」

スマホ画面を消してバッグにしまう。その一連の動作に洋輔さんは首を傾げている。

「心春、明日俺の実家で夕食をとらないか? 義姉さんから誘うように言われているんだ。先日、電話をかけたとき心春の都合が悪かったって言ってたし」

あの日……順平さんと出かけたから……。

「でも、ご両親も――」
「父のアメリカ出張について母も同行しているからいないんだ。だから兄さんたちだけだし、緊張することはないよ」
「それなら……桜子ちゃんや子供たちにも会いたいし」
「OKの返事しておくよ」

洋輔さんはもう一度カフェラテを淹れてくれ、19時になったところで私は『カフェ・グラン・ロッソ』をあとにした。


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