初恋はカフェ・ラテ色
「ごめ――!?」

謝ろうとしたところで腕が回りぎゅっと抱きしめられる。

「洋輔さんっ!」

公道で、幼稚園の近くだし、まだ明るい。誰かに見られないとも限らない。すっぽりと収まった洋輔さんの腕の中でジタバタと暴れる。

本来なら嬉しくて仕方ないのに、今の状況を考えたら別の意味で心臓が壊れそうだ。

「洋輔さんっ! 離して! 誰かに見られちゃうっ!」

必死に言うと、回された腕が外された。

ホッとして車のドアに手をかけて助手席に乗ろうとする。一刻も早く隠れたかったのだ。

だけど、ドアはロックされてビクともしなかった。

「洋輔さんっ、開けてくださいっ!」

幼稚園の方を振り返りながら誰も出てこないことを祈ったのに、朝子先生が出てきた。

心臓が止まるくらい驚いた。急いで背を向けて洋輔さんをうらめしそうに見る。

慌てる私に洋輔さんはやれやれと言った表情で小さくため息を吐くと、ロックを解除した。

カチッと機械音が聞こえ、急いで助手席に座りドアを閉めると、低い姿勢で外から見えないようにする。おまけにバッグで顔を隠した。
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