初恋はカフェ・ラテ色
バレませんようにと祈っていると、運転席側のドアが開いて洋輔さんが乗り込んだ。

「時々、理解に苦しむよ」

その声は寂しそうに聞こえて、胸がきゅんと切なくなった。

バッグをそっとずらし、洋輔さんを見る。

「ごめんなさい……」
「心春、迎えに来たらだめだった?」
「そうじゃないの! ううん。そうなんだけど、突然だったからびっくりして……」
「職場の人に俺を紹介できない?」
「……うちの先生で洋輔さんに飲みに行こうって誘った人がいるって言ったでしょう? 先輩なんだけど、私と洋輔さんが付き合っているって知られたらどんな風に思われるかと思って……ごめんなさい……」

さっきの態度は本当にいけなかったと思う。好きな人から職場に迎えに来てもらうなんて初めてのことだったからテンパってしまった。

話し終えると、洋輔さんは小さく数回頷いて、仕方ないなと言うように笑ってくれた。



< 155 / 263 >

この作品をシェア

pagetop