初恋はカフェ・ラテ色
「心春、洋輔さんをうっとり見つめすぎ」

トレーを抱えたまま少し離れたところで洋輔さんを見ていると、桜子ちゃんにひやかされる。

「そ、そんなに見てないよ」

洋輔さんから視線を動かすと、まだお皿が残っているテーブルへ向かう。

男性ふたりは食欲旺盛で、桜子ちゃんが作った料理はほとんど残ってない。

こんなに食べてもらったら作り甲斐もあるよね。

使ったお皿をキッチンに持っていくと、桜子ちゃんにもうここはいいからと、追い出されてしまう。

スカートを軽く引っ張られて下を見ると、陽菜ちゃんがにこっと桜子ちゃんに似た笑顔で立っていた。

「こはるたん、あそぼー」
「なにして遊ぼうか?」
「うーん、おえかきー。ワンちゃんかいてー。クレヨンもってくるー」

陽菜ちゃんは元気に階段を上って自分の部屋へ飛んで行った。

陽菜ちゃんと遊びながらも大人たちの会話にも時々入る。そうこうしているうちに22時になっていた。

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