初恋はカフェ・ラテ色
いつものように赤枠のドアを開けて中へ入る。

「心春ちゃん、いらっしゃい」

奈々さんがいつものように出迎えてくれる。

「オーナーは休憩室で仕事しているわよ」
「じゃあ出てくるまで待ってます」

カウンターに向かおうとすると、奈々さんがストップをかける。

「言い方がまずかったわね。心春ちゃんが来たら休憩室に来るように伝えるようにって」
「あ……」

奈々さんは苦笑いを浮かべながら、説明してくれた。

仕事をしているのなら、邪魔してはいけないと思ったのだけど……。

「じゃあ、ちょっと行ってきます。あ! 太一は今日お休みですか?」
「風邪で熱出して休んだのよ」
「熱ですか……」

太一はカフェから歩いて10分ほどのワンルームマンションに住んでいる。

一人暮らしだからちゃんと食べてるのかな……。

休憩室のドアを小さくノックすると、洋輔さんの返事が聞こえた。

静かに中へ入ると、ノートパソコンを前にした洋輔さんが手招きする。

「お仕事中なら邪魔だから……」

そう言いつつも磁石のように一歩ずつ近づく足。

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