初恋はカフェ・ラテ色
「待っていたんだ」

手首を掴まれ、膝の上に座らされ目を見張る。

「よ、洋輔さんっ!」

膝の上でジタバタして降りようとすると、ふいに自由になり隣に腰かける。

「イタズラしないでください。お仕事中ですよ」

あたふたと慌てる私を見て、目尻を下げて笑う洋輔さん。

「心春は小動物のように可愛いからつい抱きしめたくなるんだよ」

小動物って、褒められているのかわからないよ。

「洋輔さん、これから太一のところに行ってこようと思うの」
「太一? 健全な若い男のところに心春が?」

洋輔さんは形のいい片方の眉を上げて不機嫌そうになる。

いちおう同級生のよしみもあって、熱を出して寝込んでいるとあらば心配になる。でも、この洋輔さんの反応って……。

「……だめかな?」
「だめに決まってるだろう? 熱で弱っている男のところへなんか行ったら襲われる」
「襲われるって、太一は熱で寝込んでいるんだからそんなことないよ。それに太一は私のことなんて友達にしか見てないの。食べ物を届けるだけだから」

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