初恋はカフェ・ラテ色
「あ……加藤順平です」

ふたりの男性は頭を軽く下げる。

順平さんは動揺しているみたいに視線が泳ぎ、いつもと様子が違うように見える。

「こんなところで会うなんてびっくりだよ」
「この先に美味しい和食の店があるって聞いたんで」
「和食のお店かぁ。おいしそう」
「じゃ、心春ちゃん、松下さん、失礼します」

順平さんはもう一度頭を下げると、そそくさと行ってしまった。

順平さんが去って行ったのに、洋輔さんは後を追うように振り返ったまま動かない。

「洋輔さん? どうしたの?」
「あ? いいや、なんでもない」

私の声でふと我に返ったよう。

「お腹空いただろう? 圭一になにか作ってもらおう」
「そう言えばお腹が鳴りそうなくらい空いている……」

洋輔さんは優しい微笑みを浮かべた。


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