初恋はカフェ・ラテ色
「おはようございます。早く来すぎちゃいました」
「いいのよ~ あ、でもオーナーは人と会う約束でちょっと出かけているの。すぐに戻って来るって言ってたから、カウンターに座って待っててね」

洋輔さん、誰と会っているんだろう……仕事関係ならここで会うはずなのにな……。

すぐに会えなくてがっかりしながらカウンター席に腰かける。

「飲み物はオーナーに作ってもらってね」

そう言いながら奈々さんが冷たい水が入ったグラスを置いてくれる。

「ありがとうございます」

今日は暑くてここまで来るのに喉が渇き、グラスの水をゴクゴクと半分ほど飲んでいると、休憩室の隣のドアが開いて、洋輔さんが姿を現した。

「心春、来てたんだ。早いね」

立ち上がった私の顔を見て微笑む洋輔さんは、少し元気がなさそうに見えるのは気のせいなのか。

「洋輔さんに会いたくて」

ポロッと言ってしまってからハッとなる。

「あっ、その、そう……なんです……」

恥ずかしくて取り繕うとしたけれど、それは無理で……。

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