初恋はカフェ・ラテ色
洋輔さん、結婚したくなくなったとか……? それとも、照れているとか……?

「ちょっと支度をしてくる」

まだ硬いままの表情の洋輔さんは、私に断ると休憩室に入って行った。

なんだろう……洋輔さんの様子が変に思うのは私だけ?

圭一さんは厨房へ消えていき、他のスタッフもお客様を動き始めた。

私は手持ち無沙汰のままいつものカウンター席に腰を掛けた。

少しして洋輔さんが休憩室から出てきた。いつものように黒のロングエプロンを腰に巻き、颯爽とした姿で。

私と目が合うと先ほどの顔はなんだったのかと思うほど、自然な笑みを向けてくれた。

逆に私の微笑みはぎこちなくなってしまった。

カウンターの中に入った洋輔さんはお客様の注文にそなえて準備を始める。

「心春、飲み物作るよ。何がいい?」
「あ……カフェ・ラテで」
「ホットがいいの? 暑いよ?」
「暑くていいの」

カフェ・ラテでハート模様を描いてくれるか試したくなったのだ。

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