初恋はカフェ・ラテ色

順平さんと結婚っ!?

「了解」

洋輔さんはコーヒーマシンに向かい作り始めた。コーヒーを抽出する勢いのある音。この音はなんだか心地いい。

頬杖をついて、洋輔さんの働く後姿を眺めていた。

そこへお客様がひとりふたりと入ってくる。

「いらっしゃいませー」
「いらっしゃいませ」

スタッフたちが笑顔で接客している。『カフェ・グラン・ロッソ』のスタッフたちの接客態度は見ていて気持ちがいい。

お客様に気持ちよく過ごしてもらいたいと思う洋輔さんの方針で、スタッフたちにも徹底した教育を行っている。

「お待たせ」

目の前に出されたカフェ・ラテ。

ハートが描かれていて、私の心がホッと安堵した。

肩が一気に脱力したのが分かったのだろう。洋輔さんは首を傾げて私を見つめた。

「オーナー! アイスコーヒーとアイスティーお願いします!」

奈々さんの元気のいい声に、話しかけようと口を開いた洋輔さんの視線が私から外れた。

< 179 / 263 >

この作品をシェア

pagetop