初恋はカフェ・ラテ色
大トロやイクラやウニが入っているところを見ると、洋輔さんは特上を頼んだに違いない。

「洋輔さん、ランチにこんな高くなくても……」

周りに聞かれたくないから小声で言うと、洋輔さんは肩をすくめた。

「食べたくない?」
「う、ううん! 食べたい!」
「これくらいの贅沢はさせてあげられるから気にしないでいいんだよ」
「洋輔さん……うん。いただきます」

美味しいお寿司に満足し、食べ終わったころ女将さんは約束通り白玉あんみつを持って来てくれた。
和菓子屋の娘だから、口が肥えていると自負している私だけど、女将さんが小豆から作ったあんこは甘すぎず黒蜜に良く合い美味しかった。

お腹がはちきれそうなほどいっぱいになった。

『カフェ・グラン・ロッソ』に戻ると、洋輔さんは素早く仕事に戻る。

カウンター席に腰かけて一息つくと、目の奥に痛みを感じた。片頭痛の予兆だ。

疲れているのかも……。

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