初恋はカフェ・ラテ色
「でも、私には――」

「ばあさん! 心春は順平と結婚するんだ! 余計な話を持ってこられても困るじゃないか!」

またもや私に話させてもらえず、お父さんの馬鹿でかい声にさえぎられてしまった。

えっ!? お父さん、なに言ってるの?

「ちょっとお父さんったら、そんなケンカ腰で……」

魚屋のおばあさんが気を悪くしないかお母さんは心配しているけれど、伸さんのお母さんで、お父さんをよく知っている気心知れた人。

町内でも強者のおばあさんは、これみよがしに大きなため息を吐いて反論体制にある。

「あんたバカだねー娘が玉の輿に乗るんだよ。この先苦労しないで人生を過ごせるなんてなかなかないでしょうよ」
「てやんでぃー 心春は順平と結婚して『柴田屋』を継げばいいんだっ!」

私はこの2人の会話にショックを受け、固まったままで口が出せない。

特にお父さんの気持ちを知ってしまい、動悸と眩暈がしてきた。

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