初恋はカフェ・ラテ色
「結婚したい奴だと? どこのどいつだ!?」

お父さんは今にも飛び出していかんばかりだ。

「あなた、外にまで聞こえますから」

お母さんが見かねて言う。

「うるせえ。俺は心春と話してんだ! どこのどいつだか言ってみろ!」
「ま、松下洋輔さんに決まってるじゃないっ! 14歳からずっと好きだったの!」
「松下ぁ? まだあきらめていなかったのか! おめえは相手にされてねえんだ。とっとと諦めちまいな」
「相手にされたらどうなのよ?」

付き合っていて結婚の約束しているけれど、この話にノッてもらおうと言ってみる。
洋輔さんに相手にされたなら、結婚すればいいとお父さんに言ってほしかった。

「それでも順平と結婚しろ!」

ガクッと肩を落とす。

お父さんはノッてくれなかったのだ。売り言葉に買い言葉でノッてくれると思ったのだけど。

「横暴だよ! 娘の幸せより店が大事だなんておかしいからっ!」

手がぶるぶると震えて握り拳を作った。


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