初恋はカフェ・ラテ色
今はなにを話しても無駄だろう。それが分かっているだけに心が沸々と苛立って自分ではどうしようも出来ない。

わかってもらえなくて、つらくて、逃げるように工場から出た。

「心春ちゃん!」

順平さんの声にも立ち止まらず、自分の部屋に一目散へと逃げかえった。

洋輔さん……。

バッグを手にすると、一目散に階段を下りて玄関に向かう。

無性に洋輔さんに会いたい。
商店街の人たちと愛想よく話す余裕はまったくなく、駅まで全速力で駆けぬけ改札を入る。

タイミングよく来た電車に乗り込んだときは呼吸が乱れていた。

駆け込み乗車だと思われ、いつもなら恥ずかしいところだけど、今の私はそんなことを思う余裕もなくて、車窓に映る自分の顔を見つめていた。

短い時間では心のもやもや、憤り感はなくならないまま、カフェのある駅に電車は到着した。

操られた人形のようにホームに降りて、階段を下りる。

精神からきているのか、さっきから胃に不快感を覚えていた。

< 191 / 263 >

この作品をシェア

pagetop