初恋はカフェ・ラテ色
「その弟子の人も心春先生と結婚したいだなんてね。その人が心春先生と結婚したいって言わなければ簡単なんだけど……」
「はぁ~ まさか順平さんが私と結婚したいなんて思っていたなんて……」
「でもさ、大事なのは心春先生とオーナーだよ。いくら親だからって強制的に結婚させることなんて出来るわけないし」
「そうですよね……でも、洋輔さんがお父さんと……あーっ! 会わせたくないですっ!」

会わせたりしたら、洋輔さんはお父さんに殴られちゃうかも。

結論はつかなかったけれど、里佳子先生に聞いてもらえただけでも少し心が晴れた。

私が根気強くお父さんを説得していかなきゃ。

里佳子先生と駅で別れ、『カフェ・グラン・ロッソ』に足を向けた。


自分では落ち込んだ気持ちを払拭したつもりだったけれど、洋輔さんは私を見た途端きゅっと眉根を寄せた。

「心春、具合悪いのかい?」

カウンターの中からすっと手が伸びて、私の額に当てられる。

「熱はないな」
「具合悪くないよ」

洋輔さんに触れられ安らぎを感じる。


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