初恋はカフェ・ラテ色
ずっと大きな手に触れられていたい……。

「おかしいな。瞳が潤んでいる気がするけど? もしかして泣いた?」
「えっ? ううん! 泣いてなんかいないからっ」

鋭すぎる洋輔さんに大きくかぶりを振り否定する。

「それならいいけど。なにかあったら話してほしいな」
「うん! そんなことがあったら相談するから」

明るく言ってみても、洋輔さんの心配そうな瞳の色は変わらない。

「本当になにもないですよ?」

無意識で敬語を使っていた。洋輔さんはまだ私を問いかけるようにじっと見つめている。

「本当に……」

無理に笑顔を作って言ったとき、洋輔さんにオーダーする太一の声がした。
洋輔さんは口元を引き締めると、すぐにオーダーされたものを作り始めた。

私はすぐ近くにいる太一と話す気分じゃなくて、スマホを適当にいじる。

「出来たよ。よろしく」

作り終えた洋輔さんは太一に言う。

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