初恋はカフェ・ラテ色
残念というけれど、全然残念そうに見えない。なんか複雑……もう……言葉だけじゃ物足りなくなっている。

キレイな顔に似合わず、豪快にご飯を食べる洋輔さんをじっと見つめていた。

「うなぎのご飯、初めて食べたよ。美味しい――」

私がじっと見ていたことに気づいた洋輔さんの手が止まる。

「心春? どうした?」
「……洋輔さん……私……」

なんて言えばいいの? 私を食べたいと言ったのは単なる冗談かもしれない。それを真に受けた私を笑う?

「うん、どうした? 言いたいことはなんでも言って」
「……私、洋輔さんに……抱かれたい」

言ってしまってから、やっぱり言わなければ良かったと即座に後悔する。だって、洋輔さんの顔があまりにも驚いた顔だったから。

女の子から誘うなんて好きじゃないのかもしれない。

「あ! じょ、冗談だよ! 言ってみたかっただけ!」

羞恥心に襲われて、慌てて取り繕う。

やだ。恥ずかしい……。

「い、いただきまーす」

ほうれん草のおひたしにお箸を伸ばす。そこでお箸を持つ手の甲が洋輔さんの大きな手に包まれた。

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