初恋はカフェ・ラテ色

親の願いに

翌日の朝――。

自分のベッドで目を覚ますと、昨日のことは夢なんじゃないかとわけもなく部屋の中をキョロキョロする。
イスに無造作に置いてある昨日着ていた服を見ても、まだ夢なんじゃないかと思う。

あれが夢だったら悲しすぎる。
たくさん愛していると言ってくれ、ひとつになった。憧れの人と甘い時間を過ごしたのだ。

ベッドに足を下ろし、立ち上がろうとしたとき、下腹部に軽い痛みを感じた。

「いたっ……」

おかしくなりそうになりながらも、愛撫を止めてくれなかったところ。

「やっぱり夢じゃない」

昨日のことが思い出され、ジュンと甘い疼きが下腹部に走った。



朝食の席はお母さんしかいなかった。

お父さんが来ないうちにさっさと食べて仕事に行こう。

昨日の工場での出来事と、洋輔さんと過ごした時間が後ろめたくて、気まずい気持ちがあった。

お母さんには洋輔さんと過ごしたことなんてわかるはずないんだけど――。

< 206 / 263 >

この作品をシェア

pagetop