初恋はカフェ・ラテ色
「せんせい、さようなら。みなさん、さようなら」

午前保育が終わり、ぎらぎらと太陽が照る中、園児たちがお母さんに手を引かれて帰っていく。

園を出て行く園児たちに大きく手を振って、太陽の眩しさに目を瞬かせる。

もうすぐ梅雨明けかな。

日焼け止めを塗らずに外で園児たちと遊んだせいで、腕が少し赤くなっていた。しっかり塗らなきゃと、反省しながら教室に戻り後片付けを始めた。

今日は菓子教室。

ブルーベリーマフィンを作る。ブルーベリーは大好きだから作るのが楽しみ。けれど、今日は洋輔さんに会えない。

今まで以上に会いたいのは昨日のせいかも。

今まで知らなかった未知の世界、男女のあれこれなんてわからなかったけれど、洋輔さんの腕の中にいるだけで幸せだった。

絶対にお父さんの考えを変えてみせるからっ。

力を込めてガッツポーズをしていると、後ろから肩を叩かれた。

「心春先生っ!」

キティちゃんのエプロンをつけた里佳子先生だった。

「里佳子先生。お疲れ様です。昨日はありがとうございました」

にっこり笑って深く頭を下げる。

< 208 / 263 >

この作品をシェア

pagetop