初恋はカフェ・ラテ色
気持が重いまま職場へ行ったけれど、明るい園児たちに癒され元気になった。

でも園児たちが帰り楽しげな声が消えると、とたんに順平さんと約束したことが気になり始めた。

「心春先生、これ切ってもらえますか?」

朝子先生が私に厚紙を渡す。

「はい!」

職員全員でお泊り保育の時に行う人形劇の準備をしている。

私は渡された厚紙にカッターナイフをあてた。

人形の形を切る作業。

曲線がたくさんあり最初のうちは集中していたけれど、単純な作業は再びこれからのことを考えてしまっていた。

ぼんやりしてしまったせいであと少しのところで指を切りそうになった。

だめだめ。今はこれを集中して切らなきゃ。

プルプルと首を横に振り、目の前の作業に集中力を戻した。


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