初恋はカフェ・ラテ色
「お疲れ様でした!」

就業時間が終わり、急いで駅前のファミレスに向かう。

まだ外は明るい。

気分が落ち着かないところへセミの鳴く声がうるさくて、耳をふさぎたくなった。

神経が過敏になっているのはわかっている。

でも、ちゃんと向き合わなきゃ。

ファミレスに到着したのはちょうど18時だった。

中へ入ると順平さんが禁煙席の4人掛けのテーブルに座っていた。

落ち着かなげに視線を入口の方へ彷徨わせていた順平さんは、私の姿を目にすると立ち上がる。

私は軽く頭を下げてから、順平さんの対面のイスに腰を掛けた。

すぐにウエイトレスが水を持ってくる。

「心春ちゃん、何にする?」
「あ……アイスレモンティーで」
「アイスレモンティーを2つ」

ウエイトレスが注文を繰り返し去っていくと、順平さんが口を開いた。

「来てくれてありがとう。心春ちゃん」

< 211 / 263 >

この作品をシェア

pagetop