初恋はカフェ・ラテ色
「お待たせ」
「ありがとう。今日はこれが飲みたくてしかたなかったの。いただきます」
「疲れているんじゃないのかい? 少し日に焼けたみたいだ」
「あ、うん。園庭で子供たちと遊んだら、焼けちゃった。20分ぐらいなのに」

日に焼けて少し赤い腕を撫でる。

「心春は色が白いからすぐに赤くなるんだよ」
「うん。今度からちゃんと日焼け止め塗らなきゃ」

順平さんの言葉が気になっているのも確かだけど、心配かけないよう明るく振る舞った。


洋輔さんはお客様を送り出したあと、電話がかかってきたようで休憩室に入って行く。
そして出てくるとカウンターに入らず、私のところへまっすぐやって来る。

「心春、明日夜に用事が出来てしまったんだ」

明日はカフェの定休日、外で会えるデートの日。

申し訳なさそうな瞳を向けられて、私は小さく首を振る。

「用事なら仕方ないよ。私に気にせずに用事済ませてきて」
「ありがとう」

洋輔さんは私の頬を指先で軽く撫でてからカウンターの中に入った。

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