初恋はカフェ・ラテ色
「どうして……どうして、太一に内緒にしろって言ったの? 具合が悪い時はなおさらお世話したいのにっ。本当に私を彼女だと思ってるのっ?」
「……それなら……心春はなにを悩んでいる? 俺になぜ言ってくれない? 1人で悩む心春こそ他人行儀じゃないか?」

今度は私の目が大きく見開く番だった。

洋輔さんは私の手を放すと、さっと向こうをむいた。大きな肩が揺れ動き、咳の発作に苦しんでいる。

「今は風邪を治さないと。飲み物持ってくる」

咳する洋輔さんを見るのはつらい。

そして、私が悩んでいることを洋輔さんが悟っていたことに動揺していた。

寝室を出るとリビングのテーブルに置いておいたスポーツ飲料のペットボトルを手にする。

戻ると洋輔さんはベッドに縁に座っていた。

「洋輔さん、寝てないとだめだよ」

ペットボトルのキャップを回して手渡す。

「ありがとう。心春、その椅子に座って。悩んでいるんだろう? 話してほしい」

受け取った洋輔さんは一口飲む。口調はいつものように柔らかいけど、追及する瞳はいつになく厳しい。

今? ここで順平さんのことやお父さんのことを?

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