初恋はカフェ・ラテ色
「心春……風邪が移るよ」
「いいのっ! 移ってもいいからキスして欲しい」
「俺もキスはしたいけど今はダメだよ。さあ、離れて」

洋輔さんはそっと自分の身体から私を引き離した。
体調が悪いのに、洋輔さんは優しい笑みを向けてくれている。

やっぱり大人だなと、自分との差が身に染みる。

「おかゆ作るね」
「それより同窓会に行ったほうがいい。動けないほどじゃないから」
「もうっ! 洋輔さんっ! 病気のときぐらい頼ってよっ」

洋輔さんは大人すぎて、自分に甘えてくれない。

はっきり告げると、洋輔さんは困ったような顔になる。

「同窓会より洋輔さんが大事なの。おかゆ作って来るから休んでいてね」

そう言うと、寝室を出た。

洋輔さん、反対されているってわかっていたんだ……でも、どうしてだろう?

キッチンへ向かう足が考え事に邪魔されて止まる。

私、そんなこと言ったことないよね?

お父さんに会ってくれるのはうれしいけれど、そうなったらどうなっちゃうのか不安だ。

お父さん、一筋縄ではいかないから……。

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