初恋はカフェ・ラテ色
「うん。これで帰るね。あ、お薬はある?」
「あるから心配いらないよ」
「お水、もってこようか?」
「まだこれがあるから大丈夫」

さっき渡したペットボトルを指さす。まだ半分ほど残っている。

「……うん。あの、食器を片付けてから――」

洋輔さんの側にまだ居たくてのろのろと引きのばしてしまう。

「心春、早く帰りなさい」

笑いながらたしなめられると、私の考えていたことなんてお見通しなんだなと思う。

「じゃあ、お大事にね」
「メールするよ」
「うん。おやすみなさい」
「気をつけて帰るんだよ」

もっと一緒に居たい気持ちを抑えて軽く手を振ると、寝室を出て玄関へ向かった。


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