初恋はカフェ・ラテ色
インターホンを鳴らしても、やはり洋輔さんはまだ戻っていないらしい。

驚かせたかったのにな……。

「はぁ……私ってドジ……」

眠くて玄関を背にして座ると、バッグからスマホを取り出す。

メール画面を出して、打とうとするものの眠くて手が止まる。

そしてスマホが手から離れ落ちたのにも気づかずに睡魔に引き込まれた。




「――春? 心春?」

ゆっくりと身体を揺さぶられ目を開ける。

「あー、……よーすけさんだ」

洋輔さんの心配そうな顔を見て、にっこりするものの頭がまだぼうっとして、目蓋が落ちてくる。

「心春、いつから居たんだい? もしかしてお酒飲んでる?」

抱き上げられ、お姫様抱っこの状態で部屋の中へ連れて行ってもらっている。

洋輔さんの首に腕を絡めると、ほのかにコーヒーの香りといつもの爽やかなコロンの香りが鼻をくすぐった。

そっとソファの上に下ろされた私は洋輔さんに回した腕を外さなかった。

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