初恋はカフェ・ラテ色
「あなた、洋輔くんがいらっしゃいましたよ。なかなか手に入らないお酒もいただきましたよ」

取りつく島のないお父さんにお母さんは声をかける。

お酒好きのお父さんだから、なかなか手に入らないお酒と言われ耳が反応したのが見えた。

洋輔さんもお父さんのツボが良くわかってる。お酒好きとしか言わなかったのに。それも数年前のこと。

ちょっと幸先がいい?

少し安堵して暴れていた心臓もほんの少し治まった気がする。

「さ、洋輔くん、こちらに座って」

お父さんの対面に正座した洋輔さんの隣に座る。

その様子を仏頂面で見ていたお父さんの眉がピクッと上がる。

「夜分にすみません」

「き、君の用件はわかっている。娘はやらん。話は終わりだ」

私は心の中でおもいっきり「はぁ?」と叫ぶ。

なんなの? この酷い態度はっ? いくらお父さんでも許せないっ!

膝に置いた手がスカートをぎゅっと握り、お父さんに反論しようとした。そのとき、隣に座る洋輔さんの手が私の手を包み込んだ。

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