初恋はカフェ・ラテ色
「えっ? あ……ちょっとお腹空いたかな」

夢だった洋輔さんと見る花火だった。

まさかもう混雑に辟易しているとは言えずお腹のせいにする。

「屋台に行こうか? どこからでも花火は見えるしね」
「うん! お好み焼きが食べたいな」

そう言うと洋輔さんは私に手を差し出す。洋輔さんの手を握ると人ごみの中から抜け出させてくれた。

少し歩いて屋台がたくさん連なっている場所まで来た。

暑くて袖からハンカチを出してこめかみから流れる汗を拭う。

「花火大会は満喫した?」
「うん。洋輔さんの浴衣姿を見られただけでも嬉しいし、一緒に花火を見るのも夢だったから。でもね? あまりの人の多さに……想像とあまりにかけ離れていてちょっと残念なの」
「確かにこんなに大勢の人では花火鑑賞どころじゃないな。ここでの花火鑑賞を満喫したなら、俺がいいところに連れて行ってあげよう」

洋輔さんは少年のように悪戯っぽい笑みを浮かべた。

「い、いいところ?」

その言葉に胸がドキドキしてきた。

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