初恋はカフェ・ラテ色
「俺をずっと好きでいてくれてありがとう」
「洋輔さん、それは何度も聞いたよ? 私の方こそ、ずっと見守ってくれていてありがとう。それにしても……」

両親が社会人になるまで見守っていてほしいと洋輔さんにお願いしていたなんて今も思い出すとちょっと腹立たしい。

洋輔さんはそんな両親に嫌気をさして、私を嫌いになっても不思議じゃなかった。

「心春、何を考えている? 眉間に皺が寄ってるよ」

私の眉間に触れそっと撫でてくれる。

「両親のこと……社会人になるまで――」
「そのことを考えるのはもうやめよう。俺たちは未来に向かって良い方向に進むことが出来たんだから」
「洋輔さん……」
「今、14歳の頃の心春を思い出したよ」

洋輔さんはフッと口元を緩ませる。

「えっ!?」
「初めて出会った兄たちの結婚式のときのことだよ。心春はキレイな着物を着ていたのに、眉間に皺を寄せていたね」
「あ……あの時は着物に不満があって……可愛いワンピースが着たかったから不機嫌だったの」


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